・体液代謝に十分な水分を供給する
・感染とアレルギーに対する防御作用がある
・母と子のきずなを形成し、発達を促進する
Adapted from: Breastfeeding counseling : A training course.Geneva,World Health Organization.1998(WHO/CDR/93.6).
一般的にも母乳育児が子どもだけでなく母親にとってもよいことが再認識されていると思います。
母乳栄養に視点を置くのか、母乳育児に視点を置くのかで意識や行動が変わってくるかと思います。
母乳栄養≠母乳育児です。
"母乳だけで育てなければいけない"という思考に囚われてしまう方も少なからずいらっしゃいます。
でも悲しい顔、鬼のような形相で母乳育児を無理に頑張ることが赤ちゃんにとってよいのか、ということにもなります。
今一度、母乳についてお話していければ良いなと思いますのでご興味ある方は何回かにわたりお付き合いください。
まずは、上記4点の利点1番目についてです。
最適な成長のための優れた栄養を供給する。
→母乳は日々変化しています。1回の授乳の間でも刻一刻と内容が変わっていることご存知でしょうか?
出産直後の母乳を初乳と言います。
初乳は免疫物質が豊富に含まれていることで知られていますが、これについてはまた後日お話します。
1回の授乳のはじめの方に分泌されている母乳と後の方から分泌されている母乳を前乳・後乳と分類しています。
前乳はタンパク質や糖質が多く、後乳は脂肪が多い。
これはオードブルとデザートの関係に似ていますね。
5分ずつなどの時間を制限した授乳では、この脂肪分が口に入る量が減って、腹持ちが悪くてすぐに赤ちゃんが泣いたり,体重の増えがゆっくりになったりします。
いっぱい母乳が出ていて飲んでいるのによく泣く、体重が思うように増えない、そんな時は前乳ばかりを飲んでいることが考えられます。何分から後乳…というのは個人差もあって断定できませんが、前乳は薄くサラッとしているのに比べて後乳は色もやや濃い白色になり前乳に比べて重い印象です。
分泌がとってもよい人で体重増加に悩んでいる場合は少し搾乳してから授乳するのも一つです。
ただ、いつまでもそうする必要もなく、赤ちゃん自身も体力がついてきたら哺乳時間が長くなったり調整しはじめますので赤ちゃんの状態に合わせて授乳してみてください。
母乳分泌がとっても良いのになかなか体重が増えない方は参考にしてみてください。
母乳って何もしなくても出てくると皆さんよく思うようです。
確かに、何もしなくても順調に行く人もいます。
でも、状況により赤ちゃんと離れ離れになる人もいますし、病院によっては産後母親を休ませるために赤ちゃんを預かってしばらく母子別室で過ごすなんてこともあります。
そんな時は授乳できませんし、知識を知っていなければ乳頭刺激なども行わないし教えてもらえないこともあります。
知っていたらやっていたのに…なんて悲しいことになりませんように。
分泌のための仕組みを知っておきましょう。
画像はお借りしました。画像をクリックすると「乳房の解剖と母乳分泌の生理」へ飛びます。
ホルモンの変化がこの表を見るとよく分かると思います。
オキシトシンは愛情ホルモンとも言われて結構有名なホルモンになっているかと思いますが、詳しくは別の機会に。
プロラクチンとオキシトシンが授乳のたびに上昇していることがわかるかと思います。
プロラクチンは出産を機に徐々に減少していますね。
授乳や搾乳がなければ緩やかに減少の一途をたどるでしょう。
産後1−2日は胎盤由来のプロゲステロンが減少する時期であり初乳の分泌も少ないです。
ですが、胎盤娩出によるホルモン値の低下が引き金となり出生直後からの頻回授乳や搾乳による乳頭刺激で乳頭・乳輪部に刺激があたえられることで乳汁生成がスムーズに移行しやすくなります。
産後3−8日目頃は分泌しようしようとどんどん産生される時期にあります。産後9日頃からは分泌を維持する時期に入りますので、授乳回数や搾乳量により同量の分泌量を維持するように身体が変化していきます。
いつまでも3−8日目頃のように乳房が張りすぎて困る…なんてことはなく、分泌される分だけ作られるという風に変化していきますので心配しないでくださいね。(授乳時間が空きすぎると張りますけどね)
出産後すぐからの授乳、赤ちゃんが寝ていてやる気がなくても3時間毎には乳頭刺激を行うことで3・4日目からの分泌が良好となるように介入していきましょう。
初めから分泌がいっぱいある、何て人は稀です
。
飲まれることによってどんどん作ろうと体は変化していきますので、「出ていないから」なんて思わずに「飲んでもらうとこれからどんどん出てくるんだ」と思いながら授乳していきましょう。
そのためには妊娠中から乳頭刺激して軟らかく飲みやすく傷つきにくい乳首をお手入れしておくこともお忘れなく。
かなり前から授乳についての動画のご要望がありました。
やっと生まれて終わった~よかった~と一安心していたら、すぐに始まるのが子育てです。
お母さんの一番の役目といってもいいのは赤ちゃんの食事となる母乳育児ですね。
抱っこもまだ不安だし不慣れなのに、授乳なんて恐る恐る…
カプッと吸ってくれて可愛い反面、こんなに可愛い子がこんなに吸う力を持っていたとは!
と、びっくりする人も多くいるかと思います。
最初の授乳で傷を作ってしまう方もチラホラ…
何回目かの授乳で亀裂が入ってしまったり
水ぶくれができてしまったり、血が出たり…
今までこんなに刺激を受けたことがないデリケートな場所なので、お手入れも大切です。
妊娠中からお手入れするのが一番なのですが、できてしまった傷はすぐには治りません。
ですが、授乳や搾乳などと刺激となる出来事はやってきます。
ですので、授乳と授乳の間の間隔はしっかりと外部の刺激から守ってあげましょう。
入院の時に持参するガーゼハンカチでとっても簡単に作れます。
ぜひ試してみてください。